昨夜見た映画、今日読んだ本のレビュー。


by Erika_Akane

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夫婦茶碗 町田康

「その過激な堕落の美学で絶賛を浴びた『夫婦茶碗』、金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカーのワイルド・ライフを描いた『人間の屑』」というのが帯に書かれたコピーです。

でも、どこがそんなに「ダメ人生」で、「過激な堕落の美学」なのかなあ…と思いました。「夫婦茶碗」の主人公のほうなんか、ちゃんと妻のことを愛してるし、ペンキ塗りもするし、妻のためにお金を稼がなくちゃという意思もあるし、メルヘン作家になろうともしてるし。結構まともじゃないのかな?

宣伝コピーから、太宰系なのかと敬遠していたのですが、これはどちらかというと、漱石の『坊ちゃん』が頭を強打した後、仕上げにアシッドを落としてみました……という感じです。太宰はどこか女っぽいところを感じるのですが、こちらはあくまでも「男の子」だと思うんです。

「寝っころがったまま何かをとろうとして、大惨事を発生させる(サイドボードを倒しちゃうとか)」「一日中、ぼーっと何にもしていないようだけど、本人は全然飽きてない(猫の集団の観察とか)」というようなことをする男性および男の子って、結構周りにいるような気がするのですが、頭の中ではこういう論理展開がちゃんとあるのか、と妙に納得させられました。

2作とも、とっても楽しかったです。
夫婦茶碗 amazon
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by Erika_Akane | 2004-04-30 22:14 | 和書
アメリカ南部の小さな平和な町。亡き夫を慕う老婦人クッキーが自殺したのを発見した、カミール(グレン・クローズ)はショックを受ける。自殺は狂人がするものと考えるカミールは、妹(姉?)のコーラ(ジュリアン・ムーア)を丸めこみ、母は自殺したのではなく、殺されたものと演出する。ところが、一家と親しい黒人男性ウィリスが容疑者となってしまい、彼を心配するエマ(コーラの娘、リブ・タイラー)は、一緒に留置所に入る…。ロバート・アルトマン監督。

ある意味でステレオ・タイプな、理想化された「南部の小さな町」が面白いです。誰もがお互いを知っていて、エキセントリックで秘密がいっぱいの金持ちの家族がいて、女性はとってもフェミニン、みんな奇妙に礼儀正しいところがあって、のんびりゆったり暮らしている…。『真夜中のサヴァナ』(本のほうしか読んだことありませんが)マイナス人種差別みたいな感じ。

本当に南部で撮影したのかどうか分かりませんが、温度や湿度や、なんかこう「のーんびり」して、自然が近いという空気が伝わってくる画面です。前半は特にぺースが遅く感じられますが、そこで止めずに観ていると、自分の気分ものんびりしてきて、いい感じになります。

映画の中でオスカー・ワイルドの『サロメ』が演じられます。南部訛りでのサロメの台詞は楽しいです。ネアンデルタール人みたいな洗礼者ヨハネも笑えます。

ジュリアン・ムーアの天然ボケだけれど、最後には怖いコーラのキャラクターが好きです。こういう人、いそうじゃない?リブ・タイラーのショートカット姿も新鮮。グレン・クローズって、どうしてこう「いっちゃってる」女の役が多いのかな。やっぱり目つきが怪しい?
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by Erika_Akane | 2004-04-29 23:08 | 映画(ビデオ・DVD)
泊まりこむっていうの、ひそかな夢です。

知的ホームレス生活

これ、うらやましいな。バスルームは自分専用のがないと嫌なので、何ヶ月も寝泊りするのは無理ですが。

図書館って本当に好きです。いくつかの映画で、天使たちが図書館にたむろってる場面がありますが、あの感覚ってわかるわ。

でも、夜中に一人だと、ちょっと怖いかもしれない…。(ミイラ・白骨のある博物館は特に)

仲のいい、趣味が一緒の人だったら、わくわくドキドキ、とっても楽しそうです。(映画の『おしゃれ泥棒』みたいな感じかな)
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by Erika_Akane | 2004-04-29 10:31 | 雑感

Hockey Night In Canada

各ブースにTVがあるというのが売り込みの、新しいダイナーで食事をしました。ブースごとにリモコンがあって、それぞれが好きな番組を見ることが出来るのです。

若い男女のカップルが数組、ゲイ・カップルが一組、わいわい騒いでいる学生たち、一人で食事をする老紳士……

客層は広いのですが、ふと気が付くと、どのブースのTVも同じ番組を映しているではありませんか。

ホッケーです。

昨日は地元チームの試合ではなかったのですが、それでもホッケー。(みんな、モントリオールの様子を見ていました)さすがです。
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by Erika_Akane | 2004-04-28 22:12 | カナダ生活
なそうです。

Daily Dose of Imagery

知ってる場所やものが出てくることも多いのですが、スタイリッシュに撮られると、とってもかっこよく見えちゃうのね…。
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by Erika_Akane | 2004-04-28 04:42 | カナダ生活
表題作他に短編8作と戯曲が1作入っています。

とにかくシュール。夢の中のような、あるいは、夢を作る工程を見せられているような感じがします。

ハローハローと言いながら、十五歳くらいの女の子が店の奥から飛び出してきた。お土産は悲しい。女の子の顔には、真剣さも陽気さもある。こんなに悲しいお土産を毎日売っているのに、どうして顔に観光客の靴の後が付かないのだろう、と和子は後ろめたさを胸にもやもやと切り立たせる。……「チャンティエン橋の手前で」より引用

入っていけなくてもおかしくない世界なのに、むんずと掴まれて引きずり回されてしまうようなものすごさ。絵画や映像のシュールレアリスムってかなり好きなんですが、言葉でこういうことが出来るなんてすごいです。

これ、わたしにとっては日本語だから楽しく読めるのであって、もし英語で書かれていたら、ぜんぜん分からないだろうと思います。

「転向」→「ころぶ」という言葉と、セクシャリティーの危うさ、いい加減さ、危険さをフード・プロセッサーにぶち込んだような「ころびねこ」が一番好きなかな。でも、どれも面白い。

多和田葉子公式サイト
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by Erika_Akane | 2004-04-27 22:25 | 和書
トランペットを音楽専門の質屋に持っていったミュージシャンのマックスは、質屋の主人に1900(ティム・ロス)という名前のピアニストの話を語る――大西洋を往復する蒸気船の中で拾われた赤ん坊は、1900と名付けられ、やがてピアニストとして天才的な才能を発揮するようになった。陸での人生を選ぶことも出来た1900であったが、一生の間、一度として船を降りなかった……。『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督。

ペースが遅いかな、という感じもするのですが、なんといっても船旅が舞台ですし、時代も1900年からの(1900は1900年生まれ)数十年ですから、そういうゆったりとした気分で見るべきなのでしょう。嵐で大揺れの船の中で1900がピアノを弾く場面は、映画館で見たかった。

国籍を持たず、家族もなく、才能だけが所有物みたいなもので、一生海の上を漂う1900の存在って、かっこいい!というか、詩的です。しかも、彼はマックスの作り話である可能性だってある。(まあ、幻のレコードが存在するわけですが)

1900って、何かの暗喩なのかしら。人間の中にある、子供時代の自由さと孤独への憧憬?無垢?旧世界から新世界へ渡る人間の心の中に生き続ける自己同一性?いろいろ考えたのですが、よく分かりません。1900は単に1900という男なのかな。船と運命を共にすることを選んだ1900と、マックスとの別れのシーンが切ないです。

関係ないんですが、マックス役の俳優の瞳が、常に左右に細かく揺れてるような気がしてなりません。最初は、船から上がったばかりの人の症状を模擬しているのか、すごいなあ…などと思ったのですが、どの場面でも瞳が揺れています。病気か何か?気になって仕方がなかったのでした。

The Legend of 1900 公式サイト?
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by Erika_Akane | 2004-04-26 21:29 | 映画(ビデオ・DVD)
酒浸りの日々を送っていた、元CIA暗殺者のクリーシー(デンゼル・ワシントン)は、身代金目当ての誘拐が続くニューメキシコで、裕福な家の女の子ピエタ(ダコタ・ファニング)のボディーガードの仕事をすることになる。次第に二人が仲良くなり、クリーシーが生きる気力を取り戻した時、ピエタが誘拐される。誘拐を妨げようとして負った重傷から回復したクリーシーは、誘拐犯たちへの復讐を始める…。

長いです。地元の新聞の評は「一本分の値段で、二本の駄作が見られるのを“バーゲン”と思う人は見に行こう」

スローモーション、クローズ・アップ、早送り、オーバーラップ、特殊な字幕…が、見て見て見て!という感じでうるさかったです。復讐もの(9・11後のハリウッドで復讐ものが増えたことはあちこちで指摘されていますが)が嫌いなわけではないのですが、残酷な拷問をするのを応援させるような作りは、引いてしまいます。

でも、バンバン撃ち合うし、生死の境をさまよう重傷を負ったわりには身体に支障が出てないし、ミサイルみたいなのまで出てきて派手に爆発してくれるし、男の人はこういうの好きなのかな。

最後にSpecial Thanks to Mexico City って出てきます。しかし、この映画を見た後で、「次の休暇はメキシコ・シティに行こう!」って思う人っているのでしょうか?貧富の差が激しく、警察は腐敗していて、運転中に銃を振り回しても逮捕されないって、どこまで本当でどこまで作り物なの?

わたしは当分、こんな場所には行きたくないです。しかもこの映画、20年前の設定とかではなく2003年の設定。メキシコ・シティの気前のよさというか、太っ腹ぶりは偉い。
Man on Fire 公式サイト
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by Erika_Akane | 2004-04-23 21:30 | 映画(映画館)
ビジネス/セルフ・ヘルプ本です。欲しいものを手に入れるためには、どういう交渉をすればいいかが書かれています。

十年前だったら、こんな本を読んでいる人間のことを軽蔑したに違いないのですが、歳をとったものです。こういう本を読むことにも、読んでいる人々にも、そんなに抵抗がなくなりました。

「交渉」って苦手です。欲しいものがあると、「これこれが欲しい」とまともに言い、「駄目」と言われると「あら、そうですか」とすぐに諦めるのが、わたしのスタイルなんですが、欲しいものを入手するという観点からは、自殺行為のようです。

何が欲しいのかは、なるべく言わないでいたほうがいいのだそうです!
わたし、人生でだいぶ損をしてきたのかしら。

5 Proven Steps that Get You to Yesというのは、
1的確な情報を得る
2相手の動機(腹)を探る
3的確な質問をし、的確な答えを与える
4よく聞く(聞き出す)
5Noを答えとして受け入れない(あきらめない)

ふうん。
「そうか。だから、外交においてスパイは欠かせないのか」ということが初めて分かったのでした。

「何が何でも信用を失うな」「キレてはいけない」「冷静になり、感情は抜きに損得だけを考えよ」「よい負け方をしよう」「そもそも相手にNoという言葉を言わせないようにする」「とにかくコミュニケーションを絶たない」……そういうふうなことが書かれています。

読了したわけですが、これを読んだことによって、欲しいものが何でも手に入るようになるかというと、そんなことはなさそう――わたしの場合、これを実行し始める前に、『確実にやる気を出す5つのステップ』でも読まなくてはなりません。(そんな本を読む「やる気」もない重症さなのですが)

Bruno Gideon 公式サイト著者の顔写真を見ることができます。(Mr.Cleanみたい)
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by Erika_Akane | 2004-04-23 05:25 | 洋書
30年間市役所で働いてきた市民課長渡辺は、胃癌で余命がいくらもないことを知る。献身的に育ててきた息子の心は遠く、世俗的な「享楽」に身を沈めてみても今一つピンとこない。市役所の部下であった、生気に満ちた若い女性を羨んでその秘訣を聞くと「ただ働いて、食べているだけ」と答えられる。渡辺課長は、休んでいた自分の仕事に戻り、小さな公園の建設に残された時間を費やす…。黒澤明監督。

ブログを始める前に試写会で観たMy Life Without Me(邦題「死ぬまでにしたい10のこと」死ぬまでにしたい10のこと公式ページ地元なのでサラ・ポリーが来ていました。←自慢)と同じ設定だなということに、後になって気付きました。印象はかなり違います。

「生きる」の場合、「社会のために何かをすることによって、人間は初めて『生きる』ことが出来る」というメッセージがこめられているような気がしました。(一緒に見た人は、全然違うメッセージを受けたようです。わたしは社会のために何かしようなんて考えたこともないので、こんなメッセージを受け取ってしまったのかもしれません…)

ところで、医者がはっきりとガンを告げないことに、カナダ人は激しく疑問を感じていました。「正確な病名を告げないのは違法じゃないの?」「財産の整理が出来ないのは困る」「誤診だったらどうするの?訴訟が出来ないのでは?」「自分の人生をコントロール出来ないなんて…」

そうよねえ。
大学入試の小論文練習で、「末期ガンの宣告はすべきか」とかいう課題を見たことがあるのですが、あの頃から「告げるべきではない」派の論点が理解できなかったわたしにも、納得のいく答えを返すことは出来ないのでした。
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by Erika_Akane | 2004-04-22 21:47 | 映画(ビデオ・DVD)