昨夜見た映画、今日読んだ本のレビュー。


by Erika_Akane
ロボットと共の生活が普通の近未来。息子マーティンが不治の病にかかっている夫婦は、デイビッド(ハーレイ・ジョエル・オスメント)という、愛することのできる最新型の少年ロボットを養子にする。ところが、マーティンが奇跡的に回復して家に帰ってきたことから……。

ネタバレ注意。



わたしは、どうも「報われない愛、答えられない愛」に涙腺が弱いようなので、これはもろに泣きツボにはまった感じでした。

また、冒頭の「神と人間と愛」についての疑問とか、「自分は特別だ」と思っていたのに、自分と同じロボットやロボット型を発見するあたりの気持ち悪さとか、(「愛すること・愛されること」と「自分が唯一の特別な存在であると思うこと」って関連性があるんでしょうか?それとも、このこだわりは彼がロボットだから?)いろいろ考えさせられることが多かったです。

それにしても、2000年間も愛を求め続けるって、すさまじい執念。これ、少年が母の愛を求めるのだからいいけれど、大人だったらストーカー的…。

個人的には、最後に宇宙人が出てきてロボットの願いをかなえてあげるというのは行き過ぎという気がしました。青い妖精を見つめながら水の底で固まってしまった、という所で終わっちゃったら悲しすぎるでしょうか?もっとも、宇宙人がいないと、ナレーターもいなくなっちゃう(あれって、宇宙人ですよね?)わけで、困ってしまうのでしょうが。

ウルトラ・モダーンな設定と、おとぎ話(昔話)の型とが入り混じっていて、わけの分からない暗さがあって、わたし的にはかなり好きなのですが、奇妙にいびつな感じがするのは、キューブリック+スピルバーグという不思議な組み合わせのせいなのでしょうか。


*現在、北米ではホッケーリーグがストライキ中です。国営(?)テレビのCBCでは、いつもなら「ホッケー・ナイト・イン・カナダ」なのですが、現在は「ムービー・ナイト・イン・カナダ」と変更し、こういう映画をかけているのを見たのでした。

Artificial Intelligence: A.I. 公式サイト

A.I. imdb.com
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# by Erika_Akane | 2004-12-01 04:10 | 映画(TV)
「400字づめにして8枚から14枚くらい」(著者によるあとがきより引用)のさまざまな短編・掌編をあつめた本。

これも、図書館にあったのを何の気なく借りてきて、ちょろちょろと読みました。村上春樹は、結構読んでいるせいか(最近のものは読んでないけど)、これが発展してあれになったのか……とかいうのが感じられる作品が多くて(というか、思わずそういう「種」みたいなのを探してしまうのかも)興味深かったです。

ちょっとした時間に、気分転換に読むのに最適かも。

カンガルー日和 amazon.co.jp
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# by Erika_Akane | 2004-11-29 11:37 | 和書
広大な意味での「イコン(聖画)」を解読しようとする10の講義(風文体で書かれた書)。

恥ずかしながら、中沢新一という人については全然知らなかったし、その著書を読んだこともありませんでした。

これは、図書館の片隅にあったものを「何でもいいや」という感じで借りてきて偶然読みました。

で、びっくり!

とっても刺激的でエキサイティング。こういうの読みたかったんだよなあ~としみじみ思いました。(特に、漢字文化とアルファベット文化の違いって、頭というか、身体のどこかで感じているものの、こんなふうに書かれているのを読むことができたのは初めてです)

あと、日本語が読めてよかった、とも。これ、英語で書かれていたら、わたしの英語力では、わけが分からないと思います。というか、英語で読んでいる時と、日本語で読んでいる時って、脳の吸収のしかた(吸収する部分?)が違うような気がするんですけど――単に英語力のなさ?

中沢新一は、もっと読んでみたいと思ったのですが、果たしてここで(無料で←ケチだと自分でも思わずにはいられませんが…日本語本は高い!あとNYCのような場所ではないので、単に入手が難しいという話も)手に入るのかしら?

イコノソフィア 中沢新一 (紀伊国屋)
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# by Erika_Akane | 2004-11-26 00:44 | 和書
をもらいました!

昨日、とある大学で彼の講演会があると聞き、とにかく出かけました。(オンダーチェは、公の場に出てくることが少ない)

いくつかの著作本からの朗読の後、「(映画)編集」について、友人(なのか?)と語り合うという形式でした。彼は結構な映画好きで、特に「編集」に魅了されているのです。

「イングリッシュ・ペイシェント」についても、映画編集者を高く評価していました。原作者として、とっても満足なそうです。(「原作は原作、映画は映画で別の作品」という考え方が徹底している)原作で最後に出てくる「ヒロシマ」の部分が映画ではうまくいかなかったことについても(映画製作者たちは、いくつかのカットをとってみたが、どうやってもうまくいかないので、不可能という結論になった)、「映画は映画として、あれでいい」とのこと。

講演と質疑応答が終わった後、何十人かのファンが彼の周りに集まってサインを求めていたので、わたしもおそるおそる並びました。(オンダーチェからは「こういうの好きじゃないんだけど…」という雰囲気が放射されていたので、非常に申し訳なかったのですが…)

何をかくそう、有名人にサインをもとめたのって、これが生まれて初めてです。とーっても顔をひきつってしまい、ろくに声も出せませんでしたが、サインはゲット!
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# by Erika_Akane | 2004-11-25 01:31 | 雑感

Hana-bi (1998) 洋題 Fireworks

相棒を射殺され、同僚の刑事は下半身不随になり、幼い娘を病気で亡くし、妻(岸本加世子)は助からない病気であり、ヤクザに多額の借金をしている西元刑事(北野武) は、銀行強盗をした後、妻を連れて旅に出る……。(←ここまで絶望的で追い詰められた設定って…)

ビデオの外箱には「バイオレンス!!」みたいなことが書いてあったので、どうしようかと思いながら見たのですが、暴力の面よりも、押し殺された情のようなものに、強く心を打たれました。

後半の、日本の美しい、変化にとんだ自然を背景にした「道行き」的な雰囲気と、他愛もないことで笑いと優しさを交わす男女間は、『Dolls』に似てるのですが、わたしは『Hana-bi』のほうが好き。



一番最後の、奥さんの言葉、英語字幕では「Thank you」「Thank you for everything」となっていました。「ごめんね」にこめられたものって、短い言葉で訳するのは難しいんでしょうねえ。(思い出すだけでも泣いちゃいそうなので、ここでやめておきます)

Hana-bi  amazon.co.jp

Fireworks amazon.com

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# by Erika_Akane | 2004-11-24 00:45 | 映画(ビデオ・DVD)

Some Great Thing by Colin McAdam

漆喰工から叩き上げで、土地開発業界に君臨するようになったジェリー・マッギンティーの、若く貧しい日々、アイリッシュ移民キャサリンとの恋、苦悩の結婚生活、商売の拡大、息子との問題……。一方、国会議員の息子であり、連邦政府の首都土地開発計画部(?)で働くサイモンは、仕事場で情事を重ねていた。ある意味で、反対の立場からオタワ郊外の開発に関わった人間たちの生き様を描いた作品。

いい加減な粗筋紹介ですみません。

この二人の人生の関わりあいかたが、(特に後半で)非常に絶妙です。開発業者と、彼らに許可を与える役人という立場上での関わりはもちろんなのですが、それぞれの人生における問題の重なりかたがすごい。

「生き方」における指針や態度が全然違うのにも関わらず、人間って、根本のところで、やっぱり同じような問題にぶつかるのだろうか……(色々な意味で、手に入らないものを追いかけますか?)と思わされました。(サイモンとキャサリンは特に手に入らないものを追いかける人々のような気がします)

ジェリー・マッギンティー(父)が、とっても活き活きとしていて魅力的です。

今年の初めだったでしょうか、質の高いデビュー作ということで、カナダ文壇で話題になっていた本でした。

Some Great Thing amazon.com
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# by Erika_Akane | 2004-11-22 11:40 | 洋書
ベトナム戦争を目前として、様々な陰謀と危険がうずまいている1952年サイゴン。英国人報道員のトーマス(マイケル・ケイン)は、ベトナム人の愛人と共に暮らしていた。愛人フォングは、トーマスと共にロンドンへ行くことを願っているが、トーマスには妻がいる。そこへやってきた独身のアメリカ人青年(ブレンダン・フレイザー)がフォングに一目惚れし……。

エキゾチックな土地で、銃弾や爆弾が飛び交い、愛と死が隣り合わせ――なんかこれって、たちの悪い「中年の危機」を壮大なスケールで実現!という気がしてしまいました。

男のロマンというか悲しみというかスリルというか、もうふつふつと感じられます。わたしの粗筋だと、恋愛のパートだけに集中していますが、それだけじゃないところによって、いい映画になっているのではないでしょうか。

ある種の中年白人男性って、こういうのに無茶無茶憧れていそうな……。(というわけで、個人的にはちょっと引いちゃってますが、悪くない映画だと思います)

Quiet American 公式サイト

愛の落日 公式サイト

Quiet American  imdb.com
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# by Erika_Akane | 2004-11-19 02:02 | 映画(TV)
イタリアの大屋敷で静かに暮らすリプリー(ジョン・マルコビッチ)。地元のフレーム屋のジョナサンに「(リプリーは)金はありあまるほどあるが、趣味が悪い」と言われたのを根に持ち、地道に働いてきたジョナサンに、大金とひきかえにマフィアを暗殺するようにもちかける……。

ヨーロッパで美しいものに囲まれて暮らすリプリーの生活は、イタリア滞在中のレクター博士の生活に似ているような……。(お互いに趣味が悪いとか言いあいそうですが)とにかく、イタリアの美しい風景を見ているだけでもいい感じ。

一緒に見た人は、「つまんない」といういう感想でしたが、良心って何なのだろうというか、正しいこととそうでないことの境目はどこにあるのだろうとか、いろいろ考えさせられました。(もうすぐ病気で死ぬと分かっている時に、マフィアを殺して、愛する人たちのためにお金を残そうとするのって、どうでしょう?)

真っ当な人間を悪の道へひきこみ、無垢を崩壊させ、その苦悩を観察するリプリー。ジョン・マルコビッチの存在感が圧倒的です。

ところで、わたしがヨーロッパの警察だったら、この映画には腹を立てそうです。これだけゴロゴロ人が死んでも、関係者に捜査の手が伸びてこないって、あまりにも無能に見えません?

Ripley’s Game 公式サイト

Ripley’s Game  imdb.com
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# by Erika_Akane | 2004-11-17 00:45 | 映画(ビデオ・DVD)
トロントで産婦人科医として働く一卵性双生児のエリオットとビヴァリー(両方ともジェレミー・アイアンズ)は、性格は違うものの外見は全く同じであった。同じ職場で働き、部屋に住み、何もかも共にしてきた二人であったが、内向的なビヴァリーが、患者の一人であるクレアという女優を愛するようになった時、兄弟の関係は崩壊に向かう……。

クローネンバーグ的、視覚的グチュグチュドロドロシーンは一箇所だけです。

でも、心理的にとーっても粘着質で絡みつく感じ。これって、一卵性双生児のみなさまは、どう思うのでしょう?

子供の頃、一卵性双生児だったら、どんなに楽しくて心強いだろうなあと、双子であることを夢見たことがあります。(今も結構思っていたりします)仲が良ければ子供時代は楽しいでしょうが、現代社会で成人として生きていく過程では、失うものも多いんでしょうねえ。

それにしても、こういう産婦人科医は困ります。ほんとに。

Dead Ringers imdb.com

戦慄の絆 amazon.co.jp
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# by Erika_Akane | 2004-11-15 23:51 | 映画(ビデオ・DVD)
環境保護運動をする冴えない詩人のアルバートは、ハッカビー・デパートのエクゼクティヴで何においても「勝ち組」にみえるブラッド(ジュード・ロウ)と競争しなければならない状況になった時、「実存主義探偵」(ダスティン・ホフマン、リリー・トムリン)に、自分の人生において何が問題なのかを探し出してもらおうと(直接の依頼理由は、彼の人生に顔を出すようになった謎の黒人の存在)する……。

これも、トロント国際映画祭で公開になった後(ダスティン・ホフマン自ら宣伝のため来トロント)、北米各地で公開になっています。

コメディとしては、『Being Julia』よりも、大笑い……というか、個人的な趣味として、こういう哲学的+はちゃめちゃナンセンス+みじめさ+コメディのミックスに弱いような気がします。

内容的には(世界や人生の意味とか、どのようにそれが動いているかとか)、結構みんな頭の中で考えていたり、人生のどこかで実感したりすることで、そんなに斬新というわけではないと思いますが、それを映画として、映画館でいろんな人と一緒に観て、大笑いできるのって楽しい。

アルバートの相棒になるマーク・ウォールバーグが、とってもおかしかったです。あと、ちょっとだけ出ているシャナイヤ・トウェインは本人なのね……。

ちなみに、題名のheartは、ハートマークなんですが、出し方が分かりません。
(原題はI Love Huckabees としても知られています)

I Heart Huckabees 公式サイト

I Heart Huckabees  imdb.com
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# by Erika_Akane | 2004-11-15 02:13 | 映画(映画館)